2016年8月公開のチェック映画

イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~ (JAG AR INGRID/INGRID BERGMAN IN HER OWN WORDS) 2015年スウェーデン作品
日本公開2016年8月27日

早いもので立秋も過ぎて、8月も半ばになろうとしている。あれやこれやと今月公開映画をUP出来ないままお盆休みの時期に‥‥。今月は、「X-MEN:アポカリプス」や、大宣伝している「ジャングル・ブック」、「ゴーストバスターズ」(懐かしい84年版のリメイク。ということで今回は主人公達は中年オヤジではなく、女性。どんな風にアレンジがされているのか、興味はあるが)など、夏休みらしい話題作もあるのだが、観たいものは「ニュースの真相」と決まっていた。

CBSニュースの「60ミニッツ」は私が若い頃は好きだった番組であり、ダン・ラザーも好きなアンカーマンだった。この映画の舞台となっている2004年当時の「60ミニッツⅡ」の方は残念ながら、育児に明け暮れる毎日で観ていなかったのだが、ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑スクープ事件は当時日本でも話題になっていたと思う。その真相を描く映画が、ラザー役をロバート・レッドファードで公開されるのだ。私としては観たい、観たい、観たい、の連発になってしまう。ヒロインにはケイト・ブランシェット、脇役もデニス・クエイド、とステイシー・キーチを手堅く揃えた感じでやはり期待は高まる。

が、あえて今月は、世紀の大女優とも言えるイングリッド・バーグマンのドキュメンタリー映画「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~」を選びたいと思う。この人は是非「星樹館」でも取り上げたい好きな女優の一人なのだが、いまだ再開出来ていない歴史コーナーなので、しばらく先になりそう。実のところ彼女の出演作は私は多くが未見。有名な数本は見ているのだが、その中で一番好きなのは「追想」。ボギーと共演した「カサブランカ」は素敵だったのだけれど、それよりも10年以上あとのこちらの作品の方が印象深い、バーグマンファンの間ではどうでしょうか?

今月公開の「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~」は、彼女の実子であり女優のイザベラ・ロッセリーニが監督のスティーグ・ビョウークマンに依頼して作られたとのことである。私達映画ファン、バーグマンファンの側からしか知らない光の部分の、あるいは不倫スキャンダルで清楚なイメージが壊れた人気スター女優としての「イングリッド・バーグマン」ではなく、母として、妻として、そして女性としての彼女の姿を垣間見ることが出来る作品となれば、そして彼女のプライベートな映像や手紙などなど、実子達が協力してくれたことで眼にすることが出来る貴重なシーンも絶対に見所のはず。

「自分らしく生きる」ことをモットーに、生涯現役で、自らの誕生日に亡くなったバーグマン。誰もが認めるほどの美しさを持つ彼女は、その外見の美しさだけでなく、美しく潔く生きることを見かけの美しさ以上にこだわっていたのでは? と私は思う。その彼女の生き様を知ることで、彼女に近づくのは無理でも自分の人生を自分らしく生きる、そのヒントくらいは見つけられればな、と考えてしまうのだ。映画のナレーションを務めるのは、同国出身の注目女優アリシア・ヴィキャンデル。東京、渋谷のBunkamuraル・シネマではメインロビーフロアで8月27日~9月5日まで、バーグマンの写真展も公開中。(2016/08/10)