2012年10月前半公開のチェック映画

最終目的地 (THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION) 2009年アメリカ作品
日本公開2012年10月6日

今月は、確実に2本は観たい映画が公開する。ひとつは、ジェームズ・アイヴォリー監督の「最終目的地」。もうひとつは、ロバート・レッドフォード監督の「声をかくす人」。どちらも好きな監督であり、特にレッドフォードは監督としてでなく、俳優としても長年のファンを続けてきた身としては絶対にはずしたくない。舞台は西部開拓時代であり、ヒロインを演じるはこれまた好きな女優の一人であるロビン・ライト・ペン。共演者も魅力的だし、注目株のジェームズ・マカヴォイが主役と言ってもいい。

しかし、「最終目的地」も捨てがたい。アイヴォリー監督は好きだし、出演者はアンソニー・ホプキンスを筆頭に実力者揃いで、しかもこれまた好きな真田広之がそのホプキンスのパートナー役として登場するのだ。私には魅力的なこの2本だが、日本での劇場公開館数は少ない。それが残念! 悩んだ末、今月はこの二つに決定。まずは6日公開の「最終目的地」。「声をかくす人」は公開日が近づくあたりでの紹介ということで。

アイヴォリー監督作品は久しぶりのような気がする。この監督の作品は、品と趣を漂わせ、観る側を心地よくさせる。豪華で派手な飾り立てたものよりも、落ち着きや深みといったものが人には必要だと思わせる演出だ。当然、出演している俳優たちもそこを十分わかっている、と映画を観ていてと伝わってくる。

この「最終目的地」は、私は未読だが、ピーター・キャメロンという作家のベストセラーを映画化したということである。そして、今回の舞台となる場所はウルグアイで英国ではないが、公式サイトを観ると十分アイヴォリーワールドは堪能できそうだ。出演者は各国の演技派俳優・女優。前出の英国、日本の二人の俳優の他、シャルロット・ゲンズブール(仏)、ローラ・リニー(米)。ストーリーのキーパーソンとなる大学教授にはオマー・メトワリー(米)。おそらく大どんでん返しや波乱などはないのだろうけど、淡々と綴らられる人生を静かにじんわいりと見せるのが、アイボリー監督作品の素晴らしいところ。大いに期待してしまう映画だと言えそう。長いこと真田さんのファンを続けてきた私には彼のゲイの役は、ちょっと想像できないんだけどねえ。(2012/10/05)