イーグル・アイ

EAGLE EYE 2008年 アメリカ作品
監督:D・J・カルーソー
出演::シャイア・ラブーフ(ジェリー・ショー役)、ミシェル・モナハン(レイチェル・ホロマン役)、ロザリオ・ドーソン(ゾーイ・ペレス役)、マイケル・チクリス(カリスター役)、ビリー・ボブ・ソーントン(トーマス・モーガン役)、イーサン・エンブリー


知能を持ったコンピュータの暴走、こういった内容の映画は今や当たり前の題材と言える世の中になったのかも、と思えてくる映画。それをどう楽しませるのか、そこは演出や脚本や出演者にかかっているとも言える。劇場公開の宣伝ではテレビでもかなりCMを流していたので印象に残っている作品だが、一言で言えば、宣伝を観たときの「面白そう」という気持ちは実際に観たら半減。

最初は主人公ジェリーは軍人だった双子の兄が絡むテロの陰謀に巻き込まれたと思わせておいて、実はその首謀者はテロリストではなく政府のメインコンピュータであり、それはいつでもどこでも何にでも自由にアクセスしてジェリーを操って、作戦を実行しようとする話に展開していく。共に巻き込まれたヒロインのレイチェルも見えない敵(コンピュータ)に言われるがまま動くことになる。それも誘拐された息子の命を救いたいがため。敵は言うとおりにしないと本気であることを目の前で見せつけるから、二人は結果的にそのとおりにすることに。特に息子の命がかかっているレイチェルは必死だ。

恐怖は最高潮、と言いたいところだが、それは残念ながら劇中の主人公達だけ。観ている観客側にはその恐怖は続かない。この二人がどうやってこの問題を解決するのか、そちらへの興味へと引っ張っていくのが狙いのアクションもの(スリラーやサスペンスではなく)なら、それもありか?

コンピュータにすべてを管理させることの恐ろしさに警鐘を鳴らす内容のものでもあったかと思うが、その点は実際に感じるところはある。とは言うものの、製作総指揮にはスティーブン・スピルバーグが名を連ね、脇役にもマイケル・チクリスやビリー・ボブ・ソーントン等を揃えての大作とも言える作品なので、映画としての面白さをいうなら、そういった小難しいことは置いておいて主人公の活躍を純粋に楽しんだ方がよさそう。でないと、ラストにはちょっぴりがっかりするかも。

さて、ジェリーを演じたシャイア・ラブーフは、やはり「トランスフォーマー」で一躍有名になったと思うが、そのサムの印象が強いだけに今回もそういった目で見てしまいがちだが、この作品ではなかなかハードな一面も見せてくれた。「インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国」でもインディの息子役で思い立ったら突っ走る青年を気持ちよく見せてくれているので、こうなってくると、「ウォール・ストリート」での金融界に身を置き、復讐を計画する青年役がどうなのか気になるところ。

ヒロイン役のミシェル・モナハンは、他の作品は「Mi:Ⅲ」しか観ていないのだが、どちらも同じ印象であった。別の作品で全く違う彼女を観ることが出来るのだろうか? 特にこの役に彼女を起用する必然性は感じられないのだが、アクションものの主人公の相手役とはそんなものか? 可もなく不可もなくの点では合格点とも言えるのかも? 気になったのは、ジェリーの父親役のウィリアム・サドラー。癖のある役をこなす脇役として私の中では要チェック俳優なのだが、たくさんの作品に出演しているのでファンはいる人だと思う。今回は出番は少なく残念。もう少し見せ場があってもよかったのになあ。(2012/01/16)

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