ケロッグ博士

The Road To Wellville 1994年 アメリカ作品
監督:アラン・パーカー
出演:アンソニー・ホプキンス(ケロッグ博士役)、マシュー・ブロデリック(ウィリアム役)、ブリジット・フォンダ(エレノア役)、ジョン・キューザック(チャールズ役)、ララ・フリン・ボイル(アイダ役)、ダナ・カービー(ジョージ役)
原作:T・コラゲッサンボイル


あの有名なコーンフレークの生みの親ケロッグ博士の健康を追求する療養所が舞台。美しい自然に囲まれた療養所内では、現代から見るとおかしな健康法を繰り返す多くの人達の姿が。それを信じてやってきたウィル、エレノア夫妻。博士を軸に、この若夫婦の健康追求とその方法への疑問、そして一方で博士と出来損ないの養子ジョージとの親子関係、コーンフレークで一発大儲けを企むアーサーの事業設立の顛末を平行して展開しているけれど、出演者もご存じの俳優陣なので混乱することなく観ることが出来る。

ケロッグ博士に振り回されているこの人達や健康ランドのようなこの療養所に滞在する人々の変な行動や馬鹿げた振りは見ていて笑えるものがあります。
でも同時にふと感じたのは、こうして多くの人々が一人の著名な人物の理論や理念に大きく左右されて、まるで自分自身を失ったようにその世界にのめり込んでゆくことの恐ろしさです。

もちろんアラン・パーカー監督ですから、ただのお笑いコメディで終わるはずもないと最初からわかっていましたが、子供を死産し、夫をコカイン中毒にさせてしまった罪の意識、自責の念からケロッグ博士の健康法に洗脳されたかのようになってしまうエレノアを見ていると、現代にも通ずるものを感じずにはいられません。

エレノアは疑問を抱き続ける夫ウィルによって我に返り、二人は家に戻って壊れかけた絆を再び結ぶことが出来ますが、人のもろさや強さを見せつけられるようでもあります。どんな時でも自分自身というものを見失わないでいたいものですね。