オーストラリア
AUSTRALIA 2008年 オーストラリア作品
監督・原案:バズ・ラーマン
出演:ニコール・キッドマン(レディ・サラ・アシュレイ役)、ヒュー・ジャックマン(ドローヴァー役)、デヴィッド・ウェンハム(ニール・フレッチャー役)、ブライアン・ブラウン(キング・カーニー役)、ジャック・トンプソン(キプリング・フリン役)、デヴィッド・ガルピリル(キング・ジョージ役)、ブランドン・ウォルターズ(ナラ役)
公開当時は、かなり宣伝されていたことが思い出される作品だ。超大作、歴史大河ドラマ風のものだった。画面に映し出される美男美女。男はオーストラリアのカウボーイ、女は英国からやって来た貴族。ヒュー・ジャックマン、ニコール・キッドマンが演じ、バズ・ラーマンが監督。オーストラリアの雄大な自然を背景に、身分違いとも言える恋の行方、母性に目覚め自立していく女の姿を描く超大作。まあ、確かにそう言えなくもないかな。
時代は第二次世界大戦直前であたりは不穏な空気が漂っている。英国貴族であるサラの夫はそんなオーストラリアの牧場の管理のために英国から一人で訪れて、頑張っていたが、一年経っても戻らぬ彼にしびれを切らしたサラは自ら出向いてくる。しかし、そこでは牧場を狙っての争いのために夫が殺されていた。とスタートは重苦しい。英国のお屋敷とは全く違う環境の牧場、荒くれどもあふれる街で、いかにもお嬢さんといったサラがやっていけるのか?
日本軍の攻撃とか、先住民アボリジニのこととか、歴史的なことも盛り込まれ、そこを突っ込むといろいろ意見が出ている作品のよう(実際、日本軍の話の所は全く歴史的事実はないらしい)。孤独な男ドローヴァーの暗い過去とか、サラ自身も子供が産めない体で、アボリジニ女性と白人男性との間に生まれた子ナラとの交流で芽生える母性とか、牧場や肉の利権争いとか、あまりにいろいろ盛りだくさんすぎて、映画としてはまとまりに欠ける感もあり‥‥。連続TVドラマなら面白かったかも? なんて気にもなってしまう。
そう思うとこの映画はズバリ、「ニコール・キッドマンを観る映画」と言えそう。それって、「アザーズ」の時もそう感じたけど、この人はそういう映画が多いかな、と感じる女優だ。期待して観た同監督作品の「ムーラン・ルージュ」(まだサイトにUPしていませんが)でもそう感じた。クール・ビューティーとも言われている彼女なので当然かも、とも思うのだが、内容のことはさておき、いろんな姿の彼女を観て目の保養にするのが正しい鑑賞の仕方、なんて言ったら怒られそう。
しかし、英国での乗馬のシーン、、そして対照的なオーストラリアでの牛追いの時の乗馬シーン、家にいる時のシーン、パーティーのシーン、と様々なファッション、ヘアスタイルを観ることが出来る。私は衣装はともかく、髪型が気に入った。イメージとしては「アザーズ」の時に似ている。前髪をサイドパートで分け、ありふれたピンで留めて、毛先はしっかりカールさせてすっきりまとめてある。牛追いの時は、無造作にひとつに束ねているが、衣装とのバランスを考えれば、それはそれでいい感じ。こんな姿も素敵に見えるのは、さすが女優。ちょっと気になったのは、もともと長身ではある彼女だが、痩せすぎの感ありで立ち姿が棒のよう。メリハリはあるが、もうちょっとふっくらでもいい? なーんて、中年体型になりつつある自分のひがみかな。
相手役のヒューは粗野なカウボーイとは言え、やはりかっこよさは変わらない。ほとんどが仕事着姿で髪もボサボサだが、パーティーの時のタキシード姿というファンサービスもあり、うーん、やっぱりいい男。
そして、この映画でのキーパーソンは、アボリジニの不思議な唄の力を持つというナラ(ナラの母親は劇中前半で死亡)と彼の祖父であるキング・ジョージ。ナラを演じるブランドン・ウォルターズの目力もすごい。子役の上手さは相変わらずうならせるものがある。
結構長い映画の前半は牧場を守るために危険な牛追いの旅をする話がメイン。後半は戦争勃発の混乱を背景にギクシャクするサラとドローヴァー、そしてナラとの関係を描いているが、前半部分だけでも映画としては十分楽しめるのでは? と思う。オーストラリアではヒットしたらしいが、日本ではパッとせずに終わってしまったのは、長さや盛りだくさんの内容だけではないようだが、まあ、この映画を楽しみたいなら、ニコールの美しさ、ヒューのかっこよさのみ堪能すべし、といったところか。(2013/12/18)