リトル・プリンセス
A Little Princess 1995年 アメリカ作品
監督:アルフォンソ・クアロン
出演:エレノア・ブロン(ミンチン校長先生役)、リアム・カニンガム(セーラのパパ、クルー大尉役とラーマ王子役)、リーセル・マシューズ(セーラ役)、ラスティ・シュウィーマー(ミンチン校長先生の妹アメリア役)、アーサー・マレ(チャールズ役)、ヴァネッサ・リー・チェスター(ベッキー役)、ヘザー・デローチ(アーメンガード役)
原作:フランシス・ホジソン・バーネット
ロードショーを見逃していた私には期待ふくらむこの作品。この所、こうした児童文学の映画化が毎年あるけれど、この作品はその中でもお薦め。ウィノナ・ライダーの「若草物語」もよい出来だったし(俳優陣も良かった)、話題となった「秘密の花園」も評判通りの美しい映像でした。けれど、久々に原作を越えると思えるほどの仕上がりだったのは、以外にもこの「リトル・プリンセス」。
実はオルコットのファンである私はバーネットの「秘密の花園」も「小公女」も好きじゃなかったのです。どちらも独りぼっちになってしまった女の子が、最後は幸せになりました、という、まさにおとぎ話のようなストーリー。子供心にもこのお話はナンセンスだと感じていたからなんです。でも、「女は幾つになってもプリンセス」という大胆なコピーで宣伝された今回の「リトル・プリンセス」は一味違っていました。このコピーにはちょっと冷ややかな思いでテープを回したのですが、私はすっかり画面に引き込まれてしまっていました。
幻想的なインドの昔話で始まり、本筋に入って原作通りの展開へ。セーラ役のリーセル・マシューズは新人ながらイメージを壊さない雰囲気で好感が持てます。時々インドの昔話が挿入されつつ、不幸のどん底に突き落とされた彼女の悲劇を強調することなく、丁寧にセーラの様子が描かれていました。現実を受け入れながらも夢見ることや父親の「女は幾つになってもプリンセス」という言葉を信じて毅然とした態度で振る舞う姿が心を打ちます。どんな時でもほんの少しの優しさを忘れない、この心が自分を信じることにつながっていく。
そんな小さなセーラの毎日の日々が自分自身をを振り返らせます。当然、原作に盛り込まれていたであろうこんな事実を映像とストーリーの中ですんなりと見せ付けるのです。子供の頃わからなかったことに今気付く、それは私も少しは大人になったということなんだろうか?……、と思いつつ、「名作」とはこういうことを言うんだよなあ、などと実感したのでありました。
この映画は男優はほとんど出てきませんが、、セーラの父親役のリーアム・カニンガムはなかなか素敵。アイルランド出身の俳優さんでテレビなどで活躍しているようですが、私はこの作品以外は知りません。
それから、雪の降る深夜にセーラが屋根裏部屋の窓を開けて雪の中で踊るシーンがとても美しく印象的。是非是非女性には見てほしい1本です。(2000/10/21)
バーネットに関しては相互リンクしている緑さんの「Midori’s Room」でも詳しく紹介されています。作家の年表や映画化・ドラマ化された作品について見ることが出来ます。その他の作家もたくさんあるので 是非見て下さいね。