キル・ビルVOL.1 キル・ビル Vol.2

KILL BILL: VOL. 1 2003年 アメリカ作品
監督:クエンティン・タランティーノ   アニメーション監督:中澤一登
キャラクター原案:クエンティン・タランティーノ、ユマ・サーマン
アニメーションキャラクターデザイン:石井克人、田島昭宇
出演:ユマ・サーマン(ザ・ブライド/“ブラック・マンバ”役)、デヴィッド・キャラダイン(ビル役)、ダリル・ハンナ(エル・ドライバー/“カリフォルニア・マウンテン・スネーク”役)、ルーシー・リュー(オーレン・イシイ/“コットンマウス”役)、千葉真一(服部半蔵役)、栗山千明(ゴーゴー夕張役)、ヴィヴィカ・A・フォックス(ヴァニータ・グリーン/“コッパーヘッド”/ジーニー・ベル役)、ジュリー・ドレフュス (ソフィ・ファタール役)、マイケル・マドセン(バド/“サイドワインダー”役)、マイケル・パークス(保安官役)、ゴードン・リュウ(ジョニー・モー役)、麿赤兒(小澤親分役)、國村隼(田中親分役)、北村一輝(小路親分役)

KILL BILL: VOL. 2 2004年 アメリカ作品
出演:ユマ・サーマン(ザ・ブライド/“ブラック・マンバ”/ベアトリクス・キドー役)、デヴィッド・キャラダイン(ビル/“スネーク・チャーマー”役)、ダリル・ハンナ(エル・ドライバー/“カリフォルニア・マウンテン・スネーク”役)、マイケル・マドセン(バド/“サイドワインダー”役)、ゴードン・リュウ(パイ・メイ役)、マイケル・パークス(エステバン・ビハイオ役)、サミュエル・L・ジャクソン(オルガン奏者役)、パーラ・ヘイニー=ジャーディン(B.B.役)


監督タランティーノの好み全開の映画と言えそうな作り。ゆえに好き嫌いが分かれる作品かなと思う。話は単純。妊婦の花嫁であるザ・ブライド(名前はなかなか明かされないまま話は進む)は、殺し屋だったが、この妊娠をきっかけに足を洗う決意をした。父親は殺し屋集団のボスだが、堅気の生活をするためには誰にも知られず、過去を捨てなければならない。別人になり、新しい人生のパートナーも見つけたのに、ボスのビルに知られ、仲間の暗殺者達によって、式の当日にすべてを奪われ、自らも昏睡状態に陥る瀕死の重体に。だが、奇跡的に目覚めたザ・ブライドはビルとかつての仲間への復讐を始めるのだ。

作品は2部構成。それぞれ違う印象を与える出来になっている。1部は日本が舞台でルーシー・リュー演じるオーレン・イシイとの対決がメイン。2部はアメリカが舞台でビルとの対決を、クライマックスに残るエルとバドへの復讐と続く。ハードアクション満載で、荒野での対決も西部劇っぽい。だた、1部の方が監督の嗜好が強く出ているのではないかと思う。日本映画好きのタランティーノらしく、沖縄、東京と主人公が訪れ、怪しげな店がオーレンとの対決の舞台として登場するが、やはり外国人が描く日本になっている。日本人としてはここはつっこむ所かな、と感じるあたりは笑うシーンではないのに「これ、やり過ぎ」とつっこみたくなる。まあ、そのやり過ぎ感もオタク監督らしくて面白いと言えば面白い。

あまり深く考えず、映画として楽しめばいい作品。このサイトの趣旨から感想を述べたら、ヒロインのザ・ブライドには明るい未来はあるのかな、とラストで感じてしまう。自分の復讐は済み、死んだと思っていた娘が生きていたこともわかって取り戻した。二人で新しい人生を始めるのであろうラストシーンだが、最初の復讐相手の娘は母親が殺されるところを目撃してしまい、ザ・ブライドも「大人になっても許せなかったら復讐に来て」的なことを言い残す。尤もだとも思うが、この復讐の連鎖は断ち切れるのだろうか、なんてことも気になる。

自身の娘に対してはどうだろう? 自分の父親を母親が殺す、それも彼が彼女の婚約者を殺し、自分をも半殺しの目にあわせたから。それを知った時、どうなるのか? とあまり幸せモードは想像しがたい映画とは言えそうだ。ザ・ブライドが何故暗殺集団の暗殺者となったのか、あまり魅力的とは思えない(私には)ビルに何故惹かれたのか、仲間内の中での互いの関係や上下関係などはどうだったのか、といった過去の説明はストーリーの中にはない。

エルとの対立らしきものがあったかのようには見受けられるが、詳細は不明。そのあたりは見る側に任せるということだろうか? さらなる続編の企画があるらしいことを読んだので、どんな作品になるのか、見てのお楽しみ。

さて、ヒロインを演じたユマ・サーマンは、体張っての演技です、って感じが炸裂のザ・ブライド役。これまでの彼女の作品からは、こんなアクションが出来るとはちょっと思えないのだが、なかなかさまになっているかな。エル役のダリル・ハンナはやはり「スプラッシュ」の時の印象が私にはあまりに強いせいで、どんな役をやってもピンとこない。とは言え、彼女ももう人魚ってわけにはいかないわけで、年を感じさせますね。

ビル役のキース・キャラダインもバド役のマイケル・マドセンも予想通りの役で目新しさはなく、それは、半蔵役の千葉真一も同様で(JACを知る世代には懐かしい大葉健二も、半蔵の寿司屋の店員役で登場はおまけのようでニヤリ)、女優メインの映画かな、と思う。公開当時に注目されたオーレン役のルーシー・リューやゴーゴー夕張役の栗山千明などは見せ場もあるのでファンには嬉しいかも。(2013/08/23)

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