交渉人

The Negotiator 1998年 アメリカ作品
監督:F・ゲーリー・グレイ
出演:サミュエル・L・ジャクソン(ダニー・ローマン役)、ケビン・スペイシー(クリス役)、デヴィッド・モース(アダム役)、ジョン・スペンサー(トラヴィス役)、ロン・リフキン(フロスト役)


主演の二人が相手がOKするなら、とこの役を引き受けたという作品。それだけに二人の対立する男の間に流れる緊張感は見る側を引き付ける。

交渉人として活躍するダニー(ジャクソン)は、相棒から警察年金基金の横領という警察内部の不正の話を聞かされる。その直後に相棒は死に、ダニーはその犯人にされてしまう。無実を訴えても誰も彼を信じない。状況はあまりにダニーにとって不利だったのだ。ダニーはついに最後の手段に出た。自らが人質をとり、無実を証明する作戦だ。交渉人には他地区の凄腕交渉人クリス(スペイシー)を要求する。ストーリーの進行と共に基金を横領した黒幕は誰なのか探っていくことになるが、途中までは誰もが怪しく思えて、なかなかスリリング。

最初はダニーを支持していたかのような署長(ジョン・スペンサー! 懐かしい。「L.A. Law」では好きなキャラクターの一人でした)、すぐに突入したがる隊長のベック(デビッド・モース。ここでも癖のある役で強烈な印象を残す。実にいい俳優。大好きな一人)、ダニーの長年の友人フロイト(リフキン)。

立てこもった内務捜査官ニーバウム(J.T.ウォルシュ。いい脇役俳優でした。亡くなったのは残念)の部屋の中で繰り広げられるシーンが多いのもただのアクションものとは違う点で見所ひとつと言えるかもしれない。交渉人という設定からか、言葉の駆け引きが注目。ひとつひとつがヒントであり、重要だ。

ジャクソンもスペイシーも追い詰められた男のぎりぎりの選択を瞬時にして、プロの交渉人というこの仕事の厳しさを見せつける。対立しながらも共に真犯人を突き詰めていくことになる展開がラストにうまくつながっていて楽しめた。何と言っても、この手の男の闘いを描くものは実に私好みなのであった。(2002/04/15)

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