レバレッジ~詐欺師たちの流儀

Leverage 2008~2012年 アメリカ

このドラマについて
 正義の詐欺師の話である。たとえば、英国ドラマの「華麗なるペテン師たち」のアメリカ版とでも言えばいいか……。現在、フジテレビで深夜に放送中だが、その紹介では「必殺仕事人」とも。そう言えば、被害者が主人公のネイサンに仕事を依頼する(困っているので何とかして欲しい、と頼む)あたりは、”仕事人”に似ているが、ただし、ネイサン達は殺人は決してしない。このドラマのよさは、「冒険野郎マクガイバー」の活躍同様に、殺人はなし、死体はなし、グロいのも、キモいのもなし。武器は登場するが、どのメンバーも(武術、武器のスペシャリストのエリオットでさえ)出来るだけ武器を使わない。”武器”は、それぞれが持つ技能だ。
 悪徳業者や権力者にだまされ、全財産や身内を失った被害者達を助けるため、表向きはコンサルティング会社として、その実情は、あっと驚く詐欺計画で悪者達を懲らしめる詐欺集団として、被害者達が奪われたものを取り戻す痛快ドラマ。FOXでは第4シーズンまで放送(私は現在こちらを視聴中)。アメリカでは第6シーズン突入へ。日本では民放地上波のフジテレビが2013年4月15日深夜より第2シーズンの放送を決定! 非常に楽しみ。FOXでの字幕版を見ている私には吹き替えでもう一度見てより楽しむチャンスが嬉しい!


とにかく楽しい! それは「華麗なるペテン師たち」と同じ。「スティング」や「オーシャンズ11」と同じ。メンバーのキャラクターもいい。何よりティモシー・ハットンの主演は、やはりファンのひとりとしては本当に嬉しい。ずっと映画に出ていた彼が連続ドラマの主演とは、最初はちょっと意外だったけど、暗い過去を清算できずに、現在の”悪”と闘う弱い部分も持った主人公ネイサン役は、彼の第一印象を破らないキャラクターでやはり、はまり役だとも思う。他のメンバーは日本ではあまり知られていない俳優・女優だが、誰もが魅力的で楽しませてくれる。最初は寄せ集めの感じが漂い、みんな自分勝手な一匹狼的であった彼等が、エピソード、シーズンを重ねるごとに次第にチームとしてまとまっていき、お互いを信頼していく様子も楽しい。そして、登場するゲストも懐かしの映画スター等もあり、映画ファンにも嬉しい回が…。(2013/02/28)


出演者とキャストについて
ネイサン(ネイト)・フォードはこんな人
有能な元保険調査員である。一人息子を病気で亡くし、妻とも離婚した。重病に冒された息子が死んだのは、治療費を払ってくれなかった自分の勤める保険会社ことから、会社も辞め、アルコール依存症に。ある日、すっかり生きる気力もなくなったそんな彼のもとににライバル会社に奪われた設計図を取り戻して欲しいとの依頼が…。仕事がら、詐欺の手口を知り尽くしているネイサンにこの仕事を頼んできた依頼者は、仲間も揃えているという。その事件には元勤務先の保険会社も絡んでいることを知り、ネイサンはその依頼を受けることにする。レバレッジ・コンサルティングの始まりだ。リーダーとして、作戦部長として仕事を仕切る。彼の弱みは息子だ。自分が死なせたという思いが深いため、どうしてもアルコールを断ち切ることが出来ない。
演じたのは、ティモシー・ハットン
Starlight Cafeへ。

ソフィー・デヴェロー
どんなキャラにもなることが出来る天才的なペテン師。普段は女優業を生業としてオーディションを受けたりしているが、あまりの大根役者ぶりは誰もが驚く酷さ。しかし、一躍ペテン師となると、6カ国語を自在に操ることができ、12カ国語の物真似で相手をだまし、危機的状況をおいても機転を利かせて自分の立場を守ることもできる、まさに天才的な才能の持ち主。過去にネイサンとは、親密な関係になったこともあるらしく、ふたりの微妙な関係はこのドラマの中でも注目の一つである。ペテン師ゆえに多数の偽名を持ち、使い分けているため、ネイサン自身もソフィーの本名を知らないので、「教えてくれ」と頼むシーンがたびたび登場する。ネイサンにもはっきり物が言えるソフィーはチームの中では、みんなの要となるキーパーソン。常に一匹オオカミで生きてきたパーカーにとってもこのチームに参加したことにより、「お姉さん」的存在にもなっていく。
演じたのは、ジーナ・ベルマン
ニュージーランド出身。日本ではこの作品で広く知られた女優と言えそう。WOWOWで2008年に放送されたミニシリーズドラマ「ジキル」にヒロインとして出演しているようだが、私は未見。他にドルフ・ラングレン主演の「スナイパー/狙撃」(1996年)がある。

エリオット・スペンサー
さまざまな武器や格闘技をこなす戦闘のプロ。とは言え、実は銃嫌い。使うのはもちろん、自分に向けられるのも当然のことながら嫌悪して、その場合は瞬時に相手を倒すほどの技術と判断力を持っている。チームの中では表に出ることよりも裏方として、またネイサンやソフィーをサポートする役柄を演じることが多い。無骨な青年に見えるエリオットだが、ハンサムな外見通り女性には優しく筋は通す男性のよう。そして意外なことに料理好き。その腕をチームに披露することもしばしば。本当はすごく家庭的な人?
演じたのは、クリスチャン・ケイン
この作品の前にもドラマや映画(スティーブ・ヘレク監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の「ブロンド・ライフ」、アシュトン・カッチャー、ブリトニー・マーフィの「ジャスト・マリッジ」、ハーレー・ジョエル・オスメント主演の「ウォルター少年と夏の日」)には出演しているようだが、活躍の場は主にテレビのようである。スーパードラマで放送した「女検察官アナベス・チェイス」の第1シーズンにヒロイン、アナベスの夫役で出演しているので、こちらもチェックしたいところ。ちょっと、ブラピに似てる? 雰囲気のせいか、髪型のせいか……

パーカー
しなやかな肢体を駆使してあらゆる場所に潜り込むことの出来る泥棒。素晴らしい身体能力と実行力、泥棒に必要な知識を持ち、度胸も一流。だが、つらい幼児体験や家庭環境を経ているようで、やや常人には理解しがたい部分も持ち合わせているちょっと変わった女の子、という印象である。ごく普通の幸せな少女時代ではなかったパーカーも盗みの師匠であり養父的存在でもあるアーチー(演じるのはリチャード・チェンバレン! 懐かしい)と知り合ったことで人並みの家族愛を経験できたらしく、彼に対しての思いは絶対的である。そして、ネイサンの仲間となったことでやがてハーディソンともいい感じに……。アーチーやこの恋への展開は第1シーズンでは残念ながら出てこないので、フジテレビには今後も放送を続けてもらいたいもの。私がずっと不思議に思っているのは、パーカーにはパーカーという名前しかない、というか出てこない。ソフィーは偽名らしいが、パーカーもそうなのだろうか? 「パーカー」はファーストネームなのかファミリーネームなのかも不明のままだ。真相はいかに?
演じたのは、ベス・リースグラフ
この作品で一躍有名になったであろう彼女は写真家として活躍する一面も持つプロのフォトグラファーだということ。想像するにそれもすごく似合いそう。彼女の作品の写真集はあるのだろうか? 写真が好きな私としては気になる。「WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!」の第6シーズンにゲスト出演していたようだが、私は残念ながら気がつかなかった。「NCIS ネイビー犯罪捜査班」の第8シーズンにもゲスト出演したようなのでこちらをチェックしたい。

アレック・ハーディソン
ネイサンがチーム全体を把握し、リーダーとして的確な指示を出す頭脳であるならば、超一流のハッカーを自負するハーディソンは、そのチーム全体が仕事をスムーズに運ぶことが出来るように必要とする情報を集め、詳細なデータを分析し、提供する栄養・エネルギーのようなもの。心身に不可欠であり、不足することは許されない。それをまるで楽しんでいるかのようにこなしていく彼のスマートさには、ほれぼれするものがある。「俺に進入できないシステムはない」と豪語するだけあって、時間制限のある時でさえぎりぎりセーフでチームを救う凄腕。コンピュータがこれだけ普及した世の中、「今さら個人情報の保護なんて、なーに馬鹿なこと言ってんだー?!」とニヤリとするところは、やっぱりそうなのか、と妙に納得させてしまう憎めない奴なのだ。パーカーとの微妙な関係やエリオットとのでこぼこコンビぶり、普段は裏方の彼の変装・潜入作戦などなど、見所もたくさんのハーディソンだ。
演じたのは、オルディス・ホッジ
お兄さんのエドウィン・ホッジスも俳優。ブロードウェイで兄と一緒に舞台に立ったこともある、とフジテレビの「レバレッジ」番組HPにはある。テレビ中心で活躍している俳優とは言え、舞台経験もあるあたりは、アメリカのショウビズ界の俳優たちの層の厚さを感じさせるところ。IMDbを見ると、「ダイ・ハード3」に出演しているオルディスは、同シリーズ最新作の「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(「A GOOD DAY TO DIE HARD」)にも出ているよう。同じ役ではないようだが。小さい役のようだから、出番は少ないのだろうが、オルディス探しをするのも面白そう。