2020年3月公開のチェック映画
Fukushima 50
2019年 日本作品 初公開日:2020年3月6日公開
今月は春休みを狙ってだったのか、観たくなる作品があれこれ公開です。とは言え、世間というよりも世界中が新型コロナウィルスの影響を受けて様々なイベントが中止となる中、映画館はどんな状況なんでしょうか。運悪くこのタイミングで公開とは(延期した映画もあるようですが)、泣くに泣けないって感じでしょうね。私も劇場に行きたいと思いつつも一抹の不安もあり、なかなか足を運べずにいます。
そんな中、話題は最優秀主演女優アカデミー賞を受賞したレネー・ゼルウィガーの「ジュディ 虹の彼方に」や私の好きな女流作家オルコット(当サイト「星樹館」で紹介)原作の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 」、実在の女性を描く歴史時代物の「ハリエット」など、ヒロインの活躍を存分に楽しめそうな作品が目を惹きます。
ジュディは誰もが知る「オズの魔法使い」のドロシーを演じたジュディ・ガーランドの人生の最後の部分にスポットを当てた作品、若草物語は姉妹たちのキャストが良さそうだし、日本では馴染みのないハリエットはアメリカの歴史でどんな位置にあるのか、この作品で知ることができそうですよね。
一方、男性が主人公の作品では、意外にもこれが初めてかも?と思える偉大なる劇作家シェークスピアの晩年を描いた「シェイクスピアの庭」や、これで何回目?と思う「ドクター・ドリトル」のリメウク版がロバート・ダウニー・Jrのドリトル役で公開。
シェイクスピアを演じるのは、やっぱりこの人!と思うケネス・ブラナーだし、ドリトルではドクター役のみならず動物たちの声を有名な俳優たちが演じており、どちらも非常に魅力的。
などと、あれこれ決められずにいたものの、今回は当サイトでは異例の邦画をチョイス! 「Fukushima 50 」です。まだまだ記憶に新しいと言ってもいい、東日本大震災での福島原発事故の映画化です。この時はあれこれとニュースや特番で本当に様々なことが言われました。東電もかなり悪く言われたし、現場で働く人達・周囲の人達への偏見めいた発言や中傷も多々あったことと思います。でも、本当のことを知っているのはそこにいた人達。そして、そのほとんどは語られることはないまま。それが映画という形をとって明らかにされるのです。
この公開にあわせて、スターチャンネルでは「チェルノブイリ」が再放送されています。どちらも全てが事実に基づいているとは言わないまでも、各現場職員の、その家族の、各支援チームの当時の必死の思いや行動は本当だったはず。現場に近ければ近いほど切実な思いと苦悩の狭間であったろうと想像に難くありません。当時の現場をセットで細部に至り再現し、自衛隊とアメリカ軍の協力も得ての撮影。名だたる日本の名優たちの出演により、生々しく当時の状況を見せつけられるであろうこの映画をまだ直視できない方もいることでしょう。私も冷静では観られないかも、とも思います。でも、だからこそ今また目に焼き付けておくべきかもしれません。
災害の恐ろしさ、自然の驚異と対峙するには、常に真摯な姿勢とあきらめない心がきっと必要です。そして、まさにウィルスのごとく蔓延する人の負の部分にすべてを侵食されないためには誠実である「善」の部分を信じ続けること、それがこの作品のキャッチコピー「奇跡は起きると、信じたからこそ…」の中に感じることができます。
先月に引き続き、重いテーマの作品をピックアップしてしまいましたが、是非観たい一本です。(2020/03/07)