2017年11月公開のチェック映画
人生はシネマティック!(THEIR FINEST) 2016年 英国作品
日本公開2017年11月11日
先月後半の台風の連続や雨ばかりの日々にややうんざりの秋を感じていましたが、今月はいい感じのスタートでしょうか。夏から雨ばかりの印象だったので、この辺ですっきり秋晴れの毎日が欲しいものですね。
今月公開の私のチェック映画は、「人生はシネマティック!」です。3日公開の「マイティ・ソー バトルロイヤル」、23日公開の「ジャスティス・リーグ」もきっと理屈抜きで楽しいと思うので観たいなあと思うし、11日公開の「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」、23日公開の「gifted/ギフテッド」も興味深い。この作品と「人生はシネマティック!」のどちらにするか悩みましたが、女性が主人公のこちらを選びました。
時代背景は第二次世界大戦中の英国。情報省映画局が国民へ向けたプロパガンダ映画を作るために白羽の矢が立ったのは、コピーライターの秘書を務めるカトリン。彼女は脚本など書いたこともなかったけれど、徴兵されたコピーライターの代わりに書いた広告のコピーがきっかけで脚本家の一人として選ばれてしまいます。
作る映画は、フランスで孤立した英国兵の救出作戦「ダンケルクの戦い」であり、その救出劇は父親の漁船で兵士を救った双子の姉妹の物語。女性の視点で双子の姉妹の台詞を書いて欲しいと言うわけです。カトリンは上層部からの注文を汲んだ脚本を共同で書き、製作が始まったものの難問山積。スタッフもキャスティングされた俳優も曲者揃いと、難航する映画製作の裏側とヒロインの奮闘を描く作品のよう。
戦争物はなかなか好みや評が割れるところかと思います。私自身も個人の傾向が強く出ている戦争映画はあまり好きではありません。時が流れ、歴史となった事柄を後世の人間が善し悪しの判断をすべきではないし、その時その時でその場にいた人々はみなそれぞれの立場で必死に生きていたと思うからです。この作品は映画製作(プロパガンダ映画ではあるものの)という現場でのそれに携わる人々を描き、それが生活のために新たな職を得た女性カトリンの目線で進んでいることに興味がわきます。
たとえば、映画だけでなく、絵画や文学や音楽といった美や芸術的なものは、戦時中や大災害などの緊急かつ命の危機に迫っているような状況の時には不必要なものという判断をされたり、贅沢品と見る傾向もあるかもしれないけれど、本当は人が人としていられるための必要不可欠な心を気づかせてくれるものなんじゃないかなあ、と私は思います。映画作りを通して描かれる人の変わらぬ気持ち、そこを見られそうですね。
さて、監督はロネ・シェルフィグというデンマーク出身の情勢監督とのことで私は彼女の作品は未見ですが、期待の監督のようです。出演者も注目の若手からご存知、人気のベテランまで揃っているのでそこも楽しめそう。大々的な全国展開のロードショーではありませんが(東京でも2館だけ)、注目の一作かも、と個人的には注目してます。(2017/11/5)