2014年4月後半の公開のチェック映画
レイルウェイ 運命の旅路 (THE RAILWAY MAN) 2013年豪・英作品
日本公開2014年4月19日
さて、今月上旬紹介の段階でお話ししたように「今月はこの作品も観たい!」とどうしても1本に絞れなかったので、下旬には「レイルウェイ 運命の旅路」の紹介。こちらは、度々となるのだが、ただひたすらコリン見たさと共演の真田広之見たさゆえ。
内容はかなり重そうなのだが、でもラストは希望のあるもののよう。心配は戦争を取り扱う映画に見られがちな反戦を全面にアピールした作品になっていてほしくないこと。ただ、賞を受賞した本(原作はエリック・ローマクスの「泰緬鉄道 癒される時を求めて」角川書店刊)の映画化、しかも作者の体験を書いた物という話なので、人のありよう、夫婦の絆、友情とは、を問うものになっているのでは、とも期待する。
コリン演じるローマクスの妻にはニコール・キッドマン。ローマクスの戦友であるフィンレイにはステラン・スカルスガルド、そして若き日のローマクス、フィンレイにはジェレミー・アーヴァインとサム・リード、真田広之演じる永瀬の青年時代を演じるのは石田淡朗と実力派を揃えているようだ。石田淡朗は日本では馴染みがない感じだが、能と狂言の世界では有名な人物のよう。日本人として知らなかったことをちょっと恥じなければ、という気持ちにも…。
映画化に至るまでの苦労はかなりあったようで、そのあたりは公式サイトでよく伝わってくるのだが、過去のつらい体験と傷(心身ともに)は年月が癒してくれるのか、といったこともキーワードになりそう。公式サイトでも触れているようにこの捕虜の問題は天皇陛下の英国訪問の際にも話題になった。戦争の当事者でもなければ、体験者ですらない私達世代が何を言うか、と言われそうでもあるのだが、私は戦争はみんなを傷つけたと思う。誰かだけ、どこかの国だけという単純な話ではない。そして誰にもどの国にも自分の正義が、大義があるものだ。誰かだけ、どこかの国だけが正しいわけではない。
自分の心の中で相手を許すことが出来るだろうか? 相手も同じように苦しんでいると悟ることが出来るだろうか? その時まで癒されることはないと私はそう思うのだが、是非是非観たいこの作品。難しいことを述べたいわけじゃなく、やっぱり単純にコリン・ファースと真田広之を観たいんだなあ~、というファンの心境の方が大きいんですけどね。
そして、おまけ。先日新聞のロードショーの紹介で見つけた作品「チョコレートドーナツ」。やはり19日が日本公開日。作品は2012年のアメリカ映画だが、おそらく日本でも「グッド・ワイフ」でかなり知名度が上がったであろうアラン・カミング主演。1970年代のゲイカップル(ゲイであることは偽っている)が同じアパートに住んでいたダウン症の少年を引き取って面倒を見るのだが…というストーリー。
書き続けるとこちらの紹介にもなりそうなのだが、同性愛に差別と偏見がまだ根強かった70年代、育児放棄されたダウン症の少年とやはり重そうなテーマ。でもこちらもやはり「絆と苦しみと癒し」の映画なのでは、と思う。そして何と言っても海外ドラマ「ヤングライダーズ」ファンには、特にアイクファンには嬉しい、何と監督がトラヴィス・ファイン。作品にはドン・フランクリンも出演! 二人とも日本ではめっきり見かけられなくなっていただけに本当に嬉しかったので(また、アラン・カミングの映画も!)紹介してしまいました。あしからず。(2014/04/24)