グレイス・オブ・マイ・ハート
Grace of my heart 1996年 アメリカ作品
監督:アリソン・アンダーソン
出演:イレーナ・ダグラス(デニース役)、マット・ディロン(ジェイ役)、エリック・ストルツ(ハワード役)、ジョン・タトゥーロ(ジョエル役)、パッツィ・ケンジット(シェリル役)、ブルース・デビッドソン(ジョン役)、ブリジット・フォンダ(ケリー役)
この映画は出演者が好きだったので、見た作品。また、監督もちょっと興味がありました。主人公のエドナ役は決して美人とは言えないイレーナ・ダグラスです。が、しかし、その彼女もここではなかなか魅力的です。「誘う女」でのヒロインに殺される夫の姉の役が印象的でもあったのですが、ここでもパワフルな女性です。
お金持ちのお嬢さまエドナは歌が上手で、ある日コンテストに出場しますが、母が着せた白いドレスが気に入らず、会場で知り合った出場者の着ている服と交換して舞台に立します。そして、彼女の実力が認められて夢の音楽界入りを果たすのです。そこでは、いろんな試練と恋が彼女を待っていました。
この作品はさほど期待はしていなかったことが、かえってよかったのか、とても感じ入るものがありました。何の先入観もなかったから、素直に見れたのかもしれません。イレーナ扮するデニースには共感のようなものと「生」の力強さを感じてPOWERが伝わってくるよう。
彼女を愛する男3人の3様の人生もまた、まさにその時の彼女に必要であり、逆にその時の彼に彼女は必要だったと思えるような脚本。そのうまさとか丁寧さが、監督のきめ細かい心配りや優しさや映画に向ける姿勢なのかなと思わせます。みんなインディーズ系の映画に好んで出ているような人たちばかりだから、役に惚れて演じているという感じもします。
デニースとジェイ(マット・ディロン)はやっと本当に愛し思いやりあえる相手に巡り合えて、それをわかっているのにうまくいかないのが、とても悲しい。ジェイの弱さはアーティストゆえの繊細さなのか、助けたいデニースの気持ちをわかっているのに自分の弱さしか見えなくなっていく彼のもどかしさが見え、また助けたいとすればするほど空回りになっていくデニースの苦しさが、お互いの人生というものに大きく影響し、彼女を大きくしたのだろうと感じます。
女性も男性も魅力的な人物が登場する映画でした。また、音楽も聞き応えのあるものでした。(2000-05-25)