女優マルキーズ
Marquise 1997年 フランス・イタリア・スペイン・スイス作品
監督:ヴェラ・ベルモン
出演:ソフィー・マルソー(マルキーズ役)、ベルナール・ジロドー(モリエール役)、ランベール・ウィルソン(ラシーヌ役)、パトリック・ティムシット(グロ・ルネ役)、ティエリー・レルミット(ルイ14世役)
私にとってはどうも仏女優の中では、インパクトの強いソフィーではないけれど、波瀾万丈のマルキーズの人生を激しいそ気性と共に見せてくれた今回はこれまでの作品とは違う感じが大いに感じられました。
踊り子兼娼婦として家計を助けてきたマルキーズは、モリエール一座のグロ・ルネに見初められて彼の妻となって一座の一員になり、ルネの協力のもと大女優として開花していきます。人々の喝采を浴びて歓喜に満ち、そして、宮廷に仕えるハンサムな作家ラシーヌ(ランベール・ウィルソン)との密やかな恋に身を焦がす。けれども、上流社会では「下賤な女」と見られ、ラシーヌとモリエール一座との間の板挟みに苦しむ彼女。
自由奔放だけれど、さえない夫ルネに誠実で一座に義理堅い。そんな彼女に共感を覚えるのは私だけでしょうか。そして、女優であることへの執念とも言えるほどの激しい情熱。最高の理解者である夫を亡くした後、彼女は女優であることに殉じるかのように、命と引き替えの舞台へと飛び出します。こんなにもまっすぐに人は生きられるものなのか。人間として、女として、制約されて世界の中でこんなにもあるがまま生きることが出来るものなのか。その力強さを大いに見せつけられた作品でした。(1999)