ジェーン・エア(2011年版)
JANE EYRE 2011年 イギリス・アメリカ作品
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ミア・ワシコウスカ(ジェーン・エア役)、マイケル・ファスベンダー(エドワード・フェアファックス・ロチェスター役)、ジェイミー・ベル(セント・ジョン・リバース役)、ジュディ・デンチ(フェアファックス夫人役)、ホリデイ・グレインジャー(ダイアナ・リバース役)、サリー・ホーキンス(リード夫人)、アメリア・クラークソン(少女時代のジェーン役)
原作:シャーロット・ブロンテ
音楽:ダリオ・マリアネッリ
これまで何度も映画化やドラマ化されている作品。このサイトでは原作者シャーロットの姉であるエミリ・ブロンテを紹介しているが、彼女の「嵐が丘」同様に英国文学史上で有名な作品のひとつでもある。私は「嵐が丘」のファンだが、「ジェーン・エア」の根強いファンも多いだろう。
ジョーン・フォンテイン、オーソン・ウェルズ版の1944年「ジェーン・エア」が有名のようだが、私は未見。テレビムービーとしてイギリスで作られたズィーラ・クラーク、ティモシー・ダルトン版(1983年)もあるようだが、私が観たいのはBBC制作のルース・ウィルソン、トビー・スティーヴンス版(2006年)だろうか。映画はシャルロット・ゲンズボールとウィリアム・ハート版の1996年のイギリス映画を観たが、このときはジェーンの少女時代を「ピアノ・レッスン」で天才子役と評されたアンナ・パキンが演じて話題となっていた。作品自体は残念賞という印象。監督もフランコ・ゼフィレッリであったが、キャストがミスキャストであった感が否めない。また、私が原作本からイメージしていた「ジェーン・エア」とはちょっと違っていたかなあ。
一方、こちらの作品はそれほど期待はしていなかったものの、予想に反してよかった。イギリスのどんよりした感じや荒涼とした大地にぽつんと立っている古城のような古い屋敷とインテリア。何よりもジェーンを演じるミア・ワシコウスカが素晴らしい! 自分の信念を曲げないジェーンの苦しみ、悲しみ、喜びといった様々な感情を緊張感あふれる表情で見せてくれる。
屋敷を取り仕切るフェアファックス夫人役のジュディ・デンチや行き倒れになりかかったジェーンを助けるリバース牧師役のジェイミー・ベル、そして、ロチェスター役のマイケル・ファスベンダーと主要人物も観ていて安心。強引で謎めいているロチェスターの様子や屋敷での合点のいかない出来事には、ちょっとドキドキするものの、ありがちなゴシック調の作りで
はなく、その点もよかった。そこが強調されるのは本来のこの作品の意図とは違うと思うし、第一にこの作品はホラー映画ではないのだ。
そして、ジェーンとロチェスターのストイックな恋のシーンが、久々に胸をキュンとさせる。わかりやすい最近のロマンスものと違って、「胸が苦しくなる」、「恋い焦がれる」、「体が熱くなる」といった表現がぴったりとも言えるふたりのやや不器用な恋心が、情熱的な世代を過ぎた中高年に響くよなあ、と(オバチャンのひとりごとになってしまいました)。
この作品全体を盛り上げる音楽も素敵! と思ったら、やっぱり担当は「プライドと偏見」でも音楽担当だったダリオ・マリアネッリであった。サントラが欲しくなったラストでした。(2016/05/31)
追記:結局、後日、サントラを購入してしまいました。聞いているとまた映画が観たくなりますね。まあ、映画音楽とはそういうものでしょうけど、曲と映画のシーンが結び付いているのでその時の気持ちもこみ上げてきますね。音楽とは関係ありませんが、リバースの妹役でホリディ・グレンジャーが出ていることを今回発見し、よりもう一度観たくなった作品です。ちょっと調べてみると、2015年にTVMとして製作されたイギリス作品の「チャタレイ夫人の恋人」のヒロイン、コンスタンス役を演じているんですね! 森番のメラーズ役にリチャード・マッデン、コンスタンスの夫、チャタレイ卿にはジェームズ・ノートンとなるとやっぱり観たい!(2019/07/18)