グッド・ワイフ
The Good Wife 2009~2016 アメリカ作品
このドラマについて
州検事の夫ピーターが女性スキャンダルに絡んだ収賄罪で逮捕された主人公のアリシア。元弁護士の彼女は大学時代からの友人であり、今はスターン・ロックハート・ガードナー法律事務所の共同経営者となっているウィル・ガードナーのもとで再び弁護士として働くことになる。とりあえず再就職は出来たものの、ジュニア・アソシエイトとして最終的
に残るためには同じ時に採用されたケイリーとの競争に勝たなければならない。有能な女性弁護士でもあり、もうひとりの経営者ダイアンとの駆け引き、事件の調査を手伝う調査員のカリンダは元検事局のスタッフであり夫ピーターの部下だったという経歴。そんな状況の職場でのアリシアの複雑な立場。
そして、無実を訴え、やり直したいと言う夫、父親のことや生活環境の変化で家族の関係が揺らぐ微妙な年頃の息子ザックと娘グレース、不規則な仕事のアリシアをサポートするもののあれこれ口を挟む義母のジャッキーとの家庭。
アリシアは夫を心底信じることが出来るのか? ピーターを取り巻く事件の真相とは? 家族の再生は? 学生時代に微妙な関係のまま中途半端になっているウィルとの関係は?……と一人の女性アリシアの奮闘を描いている。制作には、リドリー、トニー・スコット兄弟が名を連ね、それだけでも観たくなる作品である。
まさに、そのスコット兄弟の名に惹かれて観たドラマではあった。確かに。だが、残念ながら、シーズン前半は途中で観るのをくじけそうになるほど、私には期待ほどの魅力は正直言ってなかった。申し訳ないが、主人公のアリシア役、ジュリアナ・マルグリーズはあまり好きな女優ではない。「ER 緊急救命室」で最初に観たときからそうだったが、今でもその印象は変わらない。この役は彼女に合っているとは思う。気の強さや頑張りすぎる感じが「ER」のキャロルと似ていると思うが、このアリシアの方が彼女に合っている感じが私はする。でも、好きになれない。多分、それはキャロル同様に役のキャラクターのせいかもしれない。
このアリシアの状況は、言ってみれば一般的な女性の立場とはちょっと違うので、感情移入するとか、そういうことはないものの、第2シーズンでアリシアの弟が彼女に言う「本当はピーターを愛してなんかいないんだろう?」という質問は、視聴者みんなの聞きたいことでもあるんじゃないのかなあ、なんて思ってしまった。
このドラマのもう一つの注目は、ジョシュ・チャールズだったが、こちらも残念なことに期待ほどの牽引力を発揮してくれなかった。彼は「いまを生きる」以来、私が密かに応援してきた俳優のひとり。パトリック・デンプシーのように低迷期から脱出かなあ、と思ったのだが、実際アメリカでの評価はどうなのであろうか? 今後に更に期待…。
さて、もう途中で観るのをやめようかと思った番組であったが、その気持ちを引き留めたのは、イーライ・ゴールド役のアラン・カミングの登場だ。ピーターの収賄罪に一区切りがつき、出所してきた彼の広報担当として雇われるが、選挙に出馬するにあたり参謀役でもあるイーライ。出来る男だが、世間の裏も表も知り尽くし、広い人脈と手段を持って目的を達成する恐ろしい男でもあることは、観る側にも察しはつく。映画好きなら、アランの登場はただの出来る男という設定であるはずはないことは、もちろんわかる。第2シーズンがNHKで放送されはじめ(2011年10月より)、今後の展開が非常に気になるところだ。(2011/10/27)
追記:この番組はおそらく第7シーズンで終了しているのだろうと思うのだが、NHKでの放送が途中で終了して以来(多分、第3シーズンくらい)、観ていない。イーライとケイリーのその後の展開が気になっているのだが、そのままになっている。観ている間、「いっそ、イーライ・ゴールド」という番組のスピン・オフができればいいのに!と思っていたのだが、それはどうも叶いそうにない。(2019/07/22)
追記:この番組の紹介を書き、そしてこの大掛かりな引っ越し作業で少し更新してから、今年のウィルス騒ぎの中でついにラストまで見ることができました。
というのも、stay home習慣が続いて、「試しにU-NEXTの無料視聴期間一か月、というのをやってみようか」と我が家で話が持ち上がり、検索したら、「グッドワイフ」があるじゃないですか! このお試し期間に一気に見るしかない、と思った私は実行したのでした。イーライ見たさに頑張って観たものの、残念ながら、番組当初の面白さは減ってしまった感が否めない。それって、自分がアリシアが好きじゃないからかなあ~なんて思いながら見ていたのですが、やはりこの作品の後半は政治色が強く出すぎている感じがしてなりませんでした。
アリシアとピーターとの関係もよくわからない。というか理解できない。夫婦のことだからそれでいいのかも、とは思いつつも、何だか中途半端に見えて納得できない。確かに世の中も人生も白黒はっきりつくことのほうが少ないし、人間関係も曖昧がほとんど。とはいえ、長年専業主婦に徹していた女性が、ある日突然社会復帰しなければならなくなり、中年なのに新人同様で勤め始め、新しい自分の人生を見つけていく、その魅力が半減したのは残念でした。アリシアがただの身勝手な女性に見えたのは私だけかなあと思いながら、最後まで観ました。
うーん、やっぱり、イーライ・ゴールドのスピンオフを作って欲しい!(2020/12/22)
出演者とキャストについて
ジュリアナ・マルグリーズ(アリシア・フロリック役 声:野沢由香里)
スティーブン・セガール主演の「アウト・フォー・ジャスティス」でデビュー。彼女を有名にしたのは何と言っても「ER 緊急救命室」の婦長キャロル役だろう。ジョージ・クルーニー演じるハンサムな小児科医ロスとの恋の行方もファンには気になった。私はあまり好きな女優ではないので、他の作品はほとんど観ていないが、映画でもテレビでも活躍中。作品には、「ニュートン・ボーイズ」、「アバロンの霧」(TVM)、「ゴーストシップ」、「ザ・グリッド」(TVM)など。
ジョシュ・チャールズ(ウィル・ガードナー役 声:田中明生)
何と言っても「いまを生きる」で、イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナードと共に主人公の一人を演じたときの初々しい高校生役が印象的だった。その後、出演した作品の何本かを観たが、残念ながらあの時のきらめきが感じられない。彼の持ち味を本当に生かせる作品、役柄に出会えていないのかも知れない。このドラマでの弁護士役に期待していたが、今ひとつ物足りなさを感じてしまう。ウィルが今後どうなっていくのか、そこを第2シーズンではチェックか? 作品には、「いまを生きる」、「ドリームガール ママにはないしょの夏休み」、「スリーサム」、「あなたに逢いたい」、「ノーマ・ジーンとマリリン」、「S.W.A.T.」、「ダーウィン・アワード」など。
クリスティーン・バランスキー(ダイアン・ロックハート役 声:小宮和枝)
映画界で活躍してきた女優だ。あれも観た、これも観たと作品をたどることが出来る。どの役も脇役で、今回のこのドラマでも脇役だが、このダイアン役は非常に印象的。「マンマ・ミーア!」のターニャ役もよかったが(メリル・ストリープ、ジュリー・ウォルターズとの共演で個性派揃いだったが)、共同経営者、部下と言えども信用できず、駆け引きや取り引きで苦渋の選択もしなければならない立場のこの強いダイアンは、はまり役言えそう。作品には、「ナイン・ハーフ」、「夜霧のマンハッタン」、「運命の逆転」、「ライフwithマイキー」、「アダムス・ファミリー2」、「白い犬とワルツを」(TVM)、「ロマンスに部屋貸します」、「キル・ミー・テンダー」、「8月のメモワール」、「ジェフリー!」、「バードケージ」、「クルーエル・インテンションズ」、「グリンチ」、「シカゴ」、「マンマ・ミーア!」ほか。
アーチー・パンジャビ(カリンダ・シャルマ役 声:米倉紀之子)
イギリス出身。アーチー扮するカリンダは非常に魅力的だが、危険な香りのする女性だ。男なら誰でもふらふら、と付いていきたくなる女性かもしれない。何か裏がありそうで、秘密を知っていそうで、深入りしない方がいいタイプだが、付いていきたい欲望に負けてしまう、そんな感じだ。小柄そうなアーチーだが、強烈な印象を残す彼女の今後が楽しみ。作品には、「ベッカムに恋して」、「ナイロビの蜂」、「プロバンスの贈り物」、「時空刑事1973」(TV)ほか。
マット・ズークリー(ケイリー・アゴス役 声:茶花健太)
アリシアの同期の同僚として、協力したり、争ったり、と微妙な立場の弁護士役だが、現在、FOXで放送中の「レジデント 型破りな天才研修医」のコンラッド役がとてもいい。こちらの役の方が合ってるかな、と私は思うのだが……。
クリス・ノース(ピーター・フロリック役 声:中田穣治)
男前の仕事ができる州検事なら、女性がらみだけでなく、いろんな誘惑や野望や罠なんかがあることは察しがつく。妻を愛しているのは本当かもしれないが、私が観たところまでだとまだまだ何かがありそうな……
メアリー・ベス・ペイル(ジャッキー・フロリック役)
ピーターの母親ジャッキー役。ジャッキーとアリシアは、ご多分に漏れず、あまりうまくいっていない嫁姑と観ていてわかる。かと言って、私は全面的に姑が悪い、という感じはしないのだが、そこはそれぞれに感じ方が違うと思う。孫を可愛がっているおばあちゃんであることは間違いない。
グレアム・フィリップス(ザック・フロリック役)
マッケンジー・ヴェガ(グレース・フロリック役)
アラン・カミング(イーライ・ゴールド役)
今回のイーライ役は、世間の裏も表も知り尽くした男いう意味では、ただのエリートではないと思うのだが、毎回パリっとしたスーツ姿を観られる彼にしては珍しいかもしれない役どころ。 Starlight cafeへ。
(今回、出演者とキャストの部分を少し追加しました。2019/07/22)