第1回 グレース・ケリー 

Grace Kelly(1928-1982) モナコ王妃
本物のプリンセスとなり、謎の事故死を遂げたハリウッドスター

私の一番好きな女優といってもいいグレース・ケリー。彼女はたったの11作品だけの出演で引退しています。モナコ王妃となるためです。とても残念ですが、私は引退の潔さも彼女らしいのかも、と思います。華やかな世界で共演男優との噂も幾つもあったグレースですが、厳格できっちりした性格でもあり、王妃となり、母親となった彼女にも私達と同じような悩みや苦しみがありました。子育てやレーニエ国王のことect……。スターという庶民とかけ離れた存在の彼女のそんな身近さが、今も私を引きつけるのかも知れませんね。

グレースはフィラデルフィアの裕福な家庭に生まれています。アイルランド系の父は建築業者で厳格な人で、母はドイツ系の美人でした。少女時代は内気だった彼女は、18歳の時に女優になる決心をしてニューヨークのアメリカ演劇アカデミーに入学します。モデルの仕事などもしていました。

デビューは1954年の『14時間』。その後、『真昼の決闘』でゲーリー・クーパーの妻の役に抜擢されて注目されます。初々しい若妻を演じた彼女が注目されるようになったのはアルフレッド・ヒッチコックの作品に登場してからでしょう。ヒッチコックは、「クール・エレガンス」という言葉で彼女を賛美し、のちにそれはグレースを評する代名詞のようになりました。ちなみに、エルメスのケリーバッグの名前の由来は彼女にあります。

1954年に『喝采』で念願のアカデミー主演女優賞を受賞しますが、2年後にはモナコのレーニエ国王と結婚して引退したのです。引退後もハリウッドでは彼女を復帰させようとしますが、実現しませんでした。そして、1982年、交通事故でこの世を去りました。(2000-4-11)


グレースの出演作品
「14時間」14Hours 20世紀フォックス 1951年作品
製作 ソル・C・シーゲル
監督 ヘンリー・ハサウェイ
原作 ジョエル・セイヤー
出演 ポール・ダグラス、リチャード・ベースハート、バーバラ・ベル・ゲデス、アグネス・ムーアヘッド、ロバート・キース
※ニューヨーカー誌に掲載された作品の映画化でセミ・ドキュメンタリーもの。グレースのデビュー作でほんの端役。日本未公開。私も見ていません。

「真昼の決闘」High Noon クレーマー・プロ 1952年作品
製作 スタンリー・クレイマー
監督 フレッド・ジンネマン
脚本 カール・フォアマン
原作 ジョン・W・カニンガム
出演 グレースはゲーリー・クーパー扮する保安官の妻役
ゲーリー・クーパー、トーマス・ミッチェル、ロイド・ブリッジス、ケティ・フラド、

「モガンボ」Mogambo MGM 1953年作品
製作 サム・ジンバリスト
監督 ジョン・フォード
原作 ウィルスン・コリスン
出演 グレースは動物学者の妻役。
クラーク・ゲーブル、エヴァ・カードナー、ドナルド・シンデン、ローレンス・ネイスミス
※ゲーブルが主演した「紅塵」のリメイク

「ダイヤルMを廻せ」Dial M For Murder ワーナー 1954年作品
監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作、脚本 フレデリック・ノット
出演 グレースは不倫している人妻役
レイ・ミランド、ロバート・カミングス、アンソニー・ドーソン、ジョン・ウィリアムズ
※1998年にマイケル・ダグラス、グィネス・パルトロー、ヴィゴ・モーテンセンでリメイクされた。アンドリュー・デイヴィス監督

「裏窓」Rear Window パラマウント 1954年作品。112分
製作、監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 コーネル・ウールリッチ
出演 グレースはカメラマンの恋人役
ジェームズ・スチュワート、セルマ・リッター、レイモンド・バー、ウェンデル・コーリィー

「トコリの橋」The Bridges At Tokori パラマウント 1954年作品 103分
製作 ウィリアム・パールバーグ、ジョージ・シートン
監督 マーク・ロブスン
原作 ジェームズ・A・ミッチェナー
出演 グレースはウィリアム・ホールデン扮する軍人の妻役
ウィリアム・ホールデン、フレデリック・マーチ、ミッキー・ルーニー、淡路恵子、チャールズ・マックグロー

「緑の火エメラルド」Green Fire 
MGM 1955年作品 100分
製作 アーマンド・ドイッチ
監督 アンドリュー・マートン
脚本 アイヴァン・ゴップ・ベン・ロバーツ
出演 グレースは南米でコーヒー園を経営する女性役
スチュワート・グレンジヤー、ポール・ダグラス、ジョン・エリクソン、マービン・ヴァイ

「喝采」 The Country Girl パラマウント 1954年作品 104分
製作 ウィリアム・パールバーグ
監督 ジョージ・シートン
原作 クリフォード・オデッツ
出演 グレースはビング・クロスビー扮する落ち目になった俳優の妻役
ビング・クロスビー、ウィリアム・ホールデン、アンソニー・ロス、ジーン・レイノルズ
※グレースはこの作品で1954年アカデミー主演女優賞を受賞。またジョージ・シートンも脚色賞を受賞

「泥棒成金」To Catch A Thief パラマウント 1955年作品 97分
製作、監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 デイビッド・ダッジ
出演 グレースはリヴィエラに母親と来ていたアメリカ娘役
ケーリー・グラント、ブリジット・オーベール、シャルル・ヴァネル、ジェシー・ロイス・ランディス、ジョン・ウィリアムズ

白鳥」The Swan
 MGM 1956年作品 112分
製作 ドア・シャリー
監督 チャールズ・ヴィダー
原作 フェレンツェ・モルナール
出演 グレースは欧州のとある国のビアトリクス王妃の娘役
アレック・ギネス、ルイ・ジュールダン、アグネス・ムーアヘッド、ジェシー・ロイス・ランディス、ブライアン・エイハーン

「上流社会」High Society
 MGM 1956年作品 107分
製作 ソル・C・シーゲル
監督 チャールズ・ウォルターズ
原作 フィリップ・バリ
出演 グレースはロード・アイランドの富豪の出戻り娘役
ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、セレスト・ホルム、M.ギルモア、ルイ・アームストロング