ブルー・ジュース
Blue juice (1995年イギリス作品)
監督:カール・プレジェザー
出演:ショーン・パートウィー、キャサリン・ゼダ・ジョーンズ
スティーブン・マッキントッシュ、ユアン・マクレガー、ピーター・ガン
主役は日本ではあまり知られていませんが、その恋人役や友人には今となっては大スターとなった2人、キャサリン・ゼダ・ジョーンズとユアン・マクレガーです。この映画、公開当時は結構マイナーな作品だったように思います。チラシが、お気楽なサーファー達の行け行け映画という印象で、しかも当時は今ほどこの2人も有名ではありませんでしたから、当然とも言えます。とは言え、チェックしていたのに見逃して残念、と今回は感じてしまいました。
ストーリーは、チラシから受けた印象とは全く別のものでした。確かにサーフィンに明け暮れる若者達は、一にも二にも波のことばかりなのですが、30歳を目前にした主人公の決断の時を描くものなのです。彼は、サーファーとしての自分の年齢や、落ち着きたいからと結婚を迫るという恋人クロエとの関係に悩んでいます。しかし、海をこよなく愛し、サーフィンの魅力に取り付かれている彼には、自分の肉体的な衰えやクロエの気持ちに応えたいという感情を素直に認めることが出来ずにいます。
また、危険な場所での波乗りは、伝説的なサーファーの彼にしかできないのだと、TV局の取材班を連れてきた波乗り仲間との友情を裏切るようでもあり、腰を落ち着ける決心が鈍るのです。二人の関係は? そして親友が持ち込んだ命がけの波乗りは?
「若い時期」に別れを告げる主人公の揺れる気持ちは、男性には共感できるものがあるかも知れません。女の私にはクロエの行動がやはり気になりました。彼と決別することになっても、2人で決めた「サーファー仲間が集まる食堂を買い取ろう」という、その資金集めにパーティを企画したり、自分の気持ちをはっきり彼に告げる態度に潔さを感じます。かくありたいものだと感心してしまったのです。
ですが、何と言ってもサーフィン映画。この映画の一番の見所は波乗りシーンです。サーフィン映画にえらく弱い私にはうねる大波と闘い、共鳴し、同化するサーファー達の姿に興奮し、『エンドレス・サマー2』以来のゾクゾクを味わえたことが何よりの収穫でした。(2000/04/17:2019/02/11更新)