第20回 マリリン・モンロー 後編
Marilyn Monroe(1926~1962) 女優 後編
人々が夢の中で見つづけていく実際には存在しない美しい幻影
マリリンは、無名時代も含めて3回結婚しています。最初は16歳のとき、相手は工場で働く21歳の青年ジム・ドハティでした。しかし、4年で離婚。その後、マリリンは映画界に入り、スターへの道を歩き始めるのです。
マリリンが大リーグのスーパースター、ジョー・ディマジオと結婚したのは、1954年のこと。しかし、この結婚は一年と持ちませんでした。ディマジオの嫉妬深さ原因の一つだったとも言います。が、マリリンとディマジオは離婚した後もよき友達でした。マリリンの死後、その葬式を取り仕切ったのはディマジオであり、その後もディマジオはマリリンのお墓に花を供えつづけていくのです。
ディマジオを離婚後、1956年にマリリンは作家アーサー・ミラーと結婚。この頃マリリンにとっては一番穏やかで幸福な時期でした。マリリンの多くの男性遍歴の中で、このミラーとの仲が、最も長く続いた関係であったと言います。しかし、マリリンにとって不幸だったのは、ミラーの子供を流産したことでした。「私はとても子供が欲しかったのです。ミラーとの4年間の生活で二度も流産したことは非常なショックでしたし、こんな悲しい思いをしたことはなかった」そんなことや、マリリンが睡眠薬を乱用したり、撮影をすっぽかしたりして、精神的に不安定だったこともあって、ミラーとも61年に離婚。
その他、結婚した三人以外にも、マリリンと浮名を流した男性は数知れません。先に触れたケネディ兄弟をはじめ、フランク・シナトラ、イブ・モンタン、チャーリー・チャップリン・ジュニア、エリア・カザンなど有名無名の多くの男達がマリリンの上を通り過ぎていきました。愛に飢えて育ったマリリン。愛を求め続けたマリリン。マリリンが本当に愛したのは、マリリンを本当に愛したのは一体誰だったのでしょうか?
マリリンが亡くなったのは、1962年8月5日。36歳でした。睡眠薬を大量に飲んでの死でしたが、その原因については、今でもはっきりはしていません。自殺か、事故か、あるいは何かの陰謀か……。自宅でひとりぼっちで死んでいたマリリン。全裸で、電話機を握り締めていたといいます。
何が、そして誰がマリリンを死に追いやったのか、マリリンは何も語らず、もはや誰にも真実を知ることは出来ません。亡くなったその瞬間から、マリリンは神話の世界の住人となってしまったのですから。(by Kozue Yukimura)
★今回は私の友人が綴ったマリリン・モンロー前後の後編です。前編はこちら
マリリンの結婚についてのこと。3人の違ったタイプの男性(と見て取れる。実際、本人を知らないので断定できないが、少なくとも写真からの雰囲気は違うタイプに見える)と結婚した彼女は、世間でよく言う「同じタイプの人ばかりを好きになって幸せになれない女」ではなさそうだ。
だが、結果は添い遂げられなかったことを考えるとどちらも同じ。人生のパートナーを語るとき、欠けている魂の半分を探す、などとも表現するが、これはなかなか核心をついているように思うのは私だけだろうか? そう考えるとマリリンが伝説にしかなり得なかったように思えてくる。彼女のソウルメイトたるには、一人の男では難しすぎた。
複雑な彼女はその反面、ひどく単純で純真だったのかもしれない。浮世の垢にまみれ、泥だらけになって必死に生きる我々には、到底理解できないものを持っていたのではないか? そんな気さえしてくるのだ。愛する夫と子供とのささやかな生活を願っていたマリリン。そんな彼女が、世界中の人々から愛されつづけて、忘れ去られることのない女性となったのは何とも皮肉な話だ。
彼女は36歳と言う若さで亡くなった。もし、死なずに生きていたら……、とファンなら一度は考えることだろう。かく言う私もそうだ。恋とスキャンダルが絶えなかった彼女に幸福な結婚は訪れたのか? 家族を持って女優を引退し、主婦として余生を送ったのだろうか? それとも世紀の大女優となって数々の名作を世に送り出しただろうか? 想像は尽きない。ショービズの世界は浮き沈みの激しい世界だからトップスターでありつづけるのは大変なことだろう。だとしても、もう少し、彼女の違った作品を観てみたかった。母親役やキャリアウーマン。今なら可能であろう多くの役を演じることが出来なかったのは非常に残念なことだ。(佐緒 2002/8/28)
マリリンの出演作品
1949年 「ラヴ・ハッピー」
1950年 「アスファルト・ジャングル」
1950年 「イヴの総て」
1950年 「彼女は二挺拳銃」
1952年 「ノックは無用」
1952年 「モンキー・ビジネス」
1953年 「紳士は金髪がお好き」
1953年 「人生模様」
1953年 「ナイアガラ」
1953年 「百万長者と結婚する方法」
1954年 「帰らざる河」
1954年 「ショウほど素敵な商売はない」
1955年 「七年目の浮気」
1956年 「バス停留所」
1957年 「王子と踊子」
1959年 「お熱いのがお好き」
1960年 「恋をしましょう」
1961年 「荒馬と女」